北の桜守

北の桜守

 吉永小百合サマ(このコラムは敬称略なんですが、この方だけは別格です)の北シリーズ3作目。

最終版です。一番出来がよく、有終の美を飾りました。

 1番目の「北の零年」は夫役の渡辺謙との年齢差が明白で違和感を覚え映画に乗れなかったです。

 2番目の「北のカナリアたち」は脚本がひど過ぎた。まず小百合サマが不倫する人妻には見えない。

不倫相手の仲村トオルとの運命的な出会いの場所が、彼が自殺をしようとする半島の突端の崖のような所ですがなぜ小百合サマがそこに居合わせたのか説明がない。

 それと教え子の1人といろいろな話をするのが、猛吹雪が荒れる中で、「何やってんだよ。凍傷するよ、喫茶店かどこかに入って話をしろよ」と怒鳴りたくなりました。

 カナリアたち(小百合サマは先生で教え子たちのことです)は当時トップ若手スターたちの競演で、少し頭のおかしい役の森山未來が絶賛されましたが可もなく不可もなくというレベル。

こういう役は俳優としては腕の見せ所ですが演じるのが難しい。

これまでのベストは「ギルバート・グレイプ」のディカプリオでワーストは「天国の駅(小百合サマ主演)」の西田敏行(計算し過ぎ)。

 ベストのカナリアは、宮崎あおい。地味な役ですが、含みのある演技で強い印象を残します。

 「北の桜守」は、樺太に渡った家族の物語。夫(阿部寛)と息子を失くし命からがら北海道へ帰って来た女性の現在までを描いた映画です。

 終戦後の逃避行を、映画の中で舞台として見せるということを知って、これは賛否両論になるだろうと思いました(ラストシーンを見るまでは否でした)。多分制作費の問題でそうしたのかと邪推したのですが違っていました(見れば分かります)。

 

 息子は2人居て助かり成長したのが堺雅人。この人は『半沢直樹』以来、オーバーアクティング気味でここでもそうですが嫌みではないです。その妻が篠原涼子、小百合サマを助けるのが闇米屋の佐藤浩市、そろって好助演。

 阿部ちゃんと小百合サマはかなりの年齢差がありますが、違和感はなかったです。出番が少ないのと、阿部ちゃんは笑うと目の回りに無数の深いしわ目立つので、シワなしの70代になっても美しい小百合サマと並んでも素直に納得できました。

 そしてラストシーン、小百合サマ、阿部ちゃん、2人の幼年時代の息子、その他大勢でのフィナーレ(堺夫妻は観客としてそれを観る図式)。桜が舞い散る舞台で、皆んなで歌いながらミュージカル仕立てのラストシーン。

 それを観ながら、これは戦争で過酷な経験をし、その後、慎ましく健気に生き、すでに惚け始めた女性、それでも幸せだったと言い切れる女性への人生讃歌だと頭にカチッと入ると、もう少しで涙がこぼれそうな感動を覚えました。

 監督はもっくんの「おくりびと』でオスカーをゲットした(外国映画賞)、滝田洋二。だてにオスカーをとった監督じゃありません。

80点

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