影武者  世界のクロサワの問題作 - Kenjis Movie Review
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影武者  世界のクロサワの問題作

黒沢監督と主演だった勝新太郎が衝突して、勝が降ろされたドラマが有名な映画。仲代達矢が代役を務めた。この映画は81年の製作ですが、黒沢監督の影武者が製作資金問題で暗礁にのりあげたというニュースを聞くたびに憤慨していました。監督は、日本が誇る世界のクロサワ。たけしも頑張っていますが、スケールが違う。こういう日本の宝のような監督の作品になぜ資金が集まらないのかと。完璧主義者なので、いつも予算をはるかにオーバーし、その度にプロデューサーは青い顔をしているというのはよく聞いていましたが。当時どこのだれとは言いませんが、人気ミュージシャンのボーカルの人が、ゴールドコーストをロケ地に選び初監督中というので、インタビューに出かけましたが、それでも数億円の制作費と聞いて、こんな若造のこんなつまらない作品にお金が出て、何故クロサワにはお金を出す人が居ないのだろうと納得できなかったですね。結局信奉者であるコッポラやルーカスによる外国資本で製作されました。それとかなり後で、勝にインタビューした際、このドラマに関して聞きたかったのですが、圧倒的な存在感で怖くて聞けなかったです。カウラの収容所ドラマを日豪合作で出来ないかと来豪された時です。
映画は、一場面一場面を額に納めて飾っておきたいような素晴らしい完璧な図柄でした。武田信玄の話で、本物が戦いで死んだ後、公にできない事情があり、そっくりさんを影武者に仕立てる訳です。主役の仲代も二役を熱演、当時若手のトップスターだった、荻原健一、根津甚八、峰大介などクロサワの映画出演を渇望する俳優たちの熱気が画面から感じられました。
恐れ多いのですが、一つだけ一つだけ、頭をかしげてしまったことを、言わせてください。
影武者が本人ではないことを側室によって見破られるのですが(あるべき傷がないことに気づいて)、この側室、家来全員がいるところで、本人ではないと叫びます。え、信玄の側室だよね。その辺のおめかけさんや2号なんかじゃない。たとえ気づいても皆んなの前で、そんなことを言うだろうか。何か事情があるに違いないと考え、後で重臣たちに問い正すのが常識ではないのでしょうか。
                                                       
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