飢餓海峡    重厚でスケール感のある犯罪映画

飢餓海峡    重厚でスケール感のある犯罪映画

前回と同じく水上勉作品を映画化したもの。3時間近い映画ですが、脚本の完成度とすべての俳優の演技が素晴らしく、あっという間に観終わります。戦後間もなく、北海道の青函連絡船が台風で転覆。多数の死者が。同じ日に質屋が務所帰りの男2人に襲われ一家惨殺され家は全焼。もう1人の男(三国連太郎)と落ち合い、小舟で津軽海峡を渡り本土へ向かいます。そして、船の転覆による遺体を全部引き上げると、遺体が2つ多いんですね。紆余曲折を経て、2人の務所帰りの男たちと判明。警察は、質屋から奪った大金で揉め、もう1人の男による犯罪とみなします。三国は娼婦(左幸子)を買い1夜を共にしますが左に大金を渡します。これは、三国の善意。ここまでが北海道でのドラマで、これを調べ上げようとする巡査(伴淳三郎)。しかし、未解決に。
10年が経ち次は場所が東京に移り 、東京で売春婦となった左は、ある日新聞で3000万円もの寄付をした篤志家の写真を見て驚愕します。三国だと思い。それで一度会ってお礼が言いたいと尋ねます。これは左の善意。ところが過去を知られたくないと思ってか、三国は左を絞殺。その現場を見た書生も殺し、海に遺体を捨てます。心中であることを目論んで。事件を捜査するのは高倉健らの刑事たち。結局逮捕されるのですが、北海道にもう一度行くことを懇願します。そこで全てを打ち明けるからと。船上で警察の隙をみて、投身自殺というのがラストシーンです。
三国が質屋惨殺事件に直接関わっていないというのは画面から分かります。ただ、金で揉めて2人を惨殺という警察のセオリーと、三国が主張する正当防衛というセオリーの2種類がフラッシュバックで出てきて、これはどちらか観客がきめればいいという作りになっています。
単なる犯罪映画ではなく、貧困を背景に、それぞれが善意でした行為が皮肉にも悲劇につながってしまうという、大げさに言うと、人生の不条理が色濃く出た映画だと思いました。
で、あんたはどっちのセオリーなんだですか?それもですが、最後の船上のシーンで、三国が手錠をかけられていないことに、こんなのありと疑問が起きたことも含めて、こういう映画に関してはごちゃごちゃ言うのは控えます。
三国、左、伴淳がとても良かったです。
                              80点

  

 

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