離愁   Le train  10年に1度の名ラスト・シーン  

離愁   Le train  10年に1度の名ラスト・シーン  

70年代のフランス映画界で君臨した2人の大女優。1人はカトリーヌ・ドヌーブで、もう1人はロミー・シュナイダー。。美貌ではドヌーブが勝ち、演技ではシュナイダーの勝ちという評価だった思います。ドヌーブは今でもバリバリの現役で映画に出ており、世界一美しい女優と形容されましたが、むっちりと肉がついたものの、成熟した美しさを保っています。
一方、シュナイダーは80年代の前半に、最愛の息子を事故で亡くした後、失意から立ち上がれず亡くなっています。睡眠薬や精神安定剤を多量に摂取していたことが分かり、自殺ではという噂も。
「離愁」は、シュナイダーが全盛期の頃の秀作のひとつです。この映画が傑出している大きな理由は、ラスト・シーンですね。
当時、淀川サヨナラ先生、小森のおばちゃま、双葉十三郎大先生らも名ラスト・シーンと賞賛していました。
ナチス侵攻から逃れようとする一家。混乱から、妻と子供と離れ離れになになった夫(ジャン=ルイ・トランティニャン)は、その汽車で謎めいた女性(シュナイダー)に出会い、恋に落ち一線を越えるんですね。原題は、汽車。と言っても貨物列車です。目的地へ向かって走る汽車の中で、ふたりが次第に燃えがっていく情念を、フランスの映画らしく描いた作品。ナチスの空からの襲撃などがありますが、ドラマチックなものはなく淡々と時間を重ねて行きます。目的地に着くと、トランティニャンは家族を探すため奔走し、その間に、シュナイダーは姿を消します
それから時間が経って、トランティニャンは警察に呼ばれるんですね。レジスタンスの一味として逮捕したユダヤの女が、彼の写真を持っていたという理由で。ここからがラスト・シーンです。署長の前で顔見せをするために待っているところに、シュナイダーが入ってきます。椅子に座り、お互い顔を見合わせますが、勿論シュナイダーは、こんな男は見たことがないという素ぶり。トランティニャンも、トラブルに巻き込まれたくないと目をそらし、知らないのならお引き取りをと言う言葉に押され、部屋から出ようとしノブに手をかけた瞬間、抑えきれない感情でシュナイダーを振り返るんです。シュナイダーのノーという表情。ですが、トランティニャンは彼女のところへ行き、手を差し伸べるんです。驚愕するシュナイダー。そしてシュナイダーもまた抑えていた彼への愛情が吹きこぼれます。シュナイダーの横顔の静止で終わるんですが、この時の横顔は、男の愛情を確信した歓喜と、これで愛する男を強制収容所送りにしたという悲痛が重なり、感動的です。「関ヶ原」の有村架純は、この場面を研究すべきだったと思います。何の話じゃと思われる方は、手前味噌ですが「関ヶ原」のreviewをチェックして下さいね。

                                               85点
* ラスト・シーンは、youtubeで、the train romyで検索すれば見れます。

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