蜜蜂と遠雷      パッションを感じられないピアニストたち

蜜蜂と遠雷      パッションを感じられないピアニストたち

この映画の致命傷は主役の4人のピアニストたちから、ピアノへの情熱をまったく感じることが出来ないことです。直木賞受賞の「蜜蜂と遠雷(恩田陸)」の映画化。国際ピアノコンクールに出場する4人のピアニストたちのドラマ。
リーマンで妻子持ちが、松坂桃李。多分天才少女だったんでしょう。しかし、演奏途中弾けなくなりそれがトラウマになり、そこから解放されない女性が、松岡茉優。恵まれた環境で王道を進んできたような森崎ウィン。荒削りながら底知れないような才能を秘めている少年が、鈴鹿央土。
こういう映画で観客が最も注目するシーンは、もちろん演奏シーンですね。本当に弾いているの、それとも替え玉かと。松坂は1回パラパラ、松岡は2回ぐらいパラパラという感じ。あとの2人は数回左から右へ流す程度。後は、顔や手のクローズアップとピアノの前から後ろからのショットで、お茶を濁してます。演奏シーンにも彼らの、この役への情熱が感じられないです。ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」でオスカーをゲットしたエイドリアン・ブロデイのように弾けなんて無理は言いませんが、古い映画ですが「コンペテション」のリチャード・ドライファス(「ジョーズ」のオッさんです)、エイミー・アービング(前スピルバーグ夫人)ぐらいは、プロの俳優なら頑張って欲しかった。いまさら遅いですが、「コンペ・・」はDVDが出ているので参考にしてください。ただ、これは俳優というよりも監督の責任ですね。役をオファーする時に、これだけの長さは全体像で撮るので、ちゃんと弾いて欲しいと条件をつけるべき。もちろん聞こえてくるピアノの音は彼らが弾いているものとは誰も期待してません。
松坂は、ピアノを軒下のようなところに置いていますが、あんな場所だとピアノがすぐダメになっちゃうよ。それから近所から音がうるさいとすぐ文句が出るよ。松岡は、もうすこし華と存在感が欲しかった。鈴鹿は、異色の天才というより、ひょうきん少年という感じ。一番ましなのが、森崎かな。ただ、見る側には何ら興味をひかない人物像です。
                       50点

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