杉原千畝 つまらない脚本と監督による凡作

杉原千畝 つまらない脚本と監督による凡作

 

 

 

 

  杉原千畝という人物を知ったのは確か20年ぐらい前だったと思います。その年のオスカーの短編映画賞を受賞したのが「杉原千畝ストリー」で、ステージに上がってきた人は、日系3世(多分)の方。杉原を演じ、プロデューサーも兼任していることを知り、このプロジェクトに並々ならない情熱を持って完成させたことを感じました。それからしばらくして火がつき、6000人のユダヤ人を救った日本のシンドラーとして、世界的に知られるようになったと思います。

 それからかなり長い年月を経て、劇場映画として大スクリーンに登場した訳ですが、結論を言ってしまえば、せっかくの題材をご都合主義の脚本と才能があるとは思えない監督で、つまらない凡作にしてしまった映画です。

 杉原によって救われたユダヤ人が外務省へ出向き、杉原に会いたいと懇願すると、そんな人間は、外務省に在籍したことはないと門前払いを食うんですね。ユダヤ人はどんなことがっても杉原を探し出すと固く自身に誓います。それがオープニングです。一転して杉原が海外で諜報員として活動していた頃になり諜報活動を描きます。たぶん日本のシンドラーという以外のバリエーションを見せようと思ったのでしょうが、2流のアクション映画のようなカーチェイスもあり、ここの部分必要だったのでしょうかね。諜報員だったことは、確かにそう知られてはいませんが。

 それからリストニア・カウナスに大使として赴任し、ここでヒットラーによるユダヤ人迫害をを知り、海外へ必死で逃げようとするユダヤ人に命のビザを発給するんです。彼の知人でもあるユダヤ人の家族のドラマも挿入されています。

 まず監督の名前が横文字だったので、そうか気合いが入ってるんだな、海外から監督を迎え国際市場で勝負できる作品にしようとしてるんだと思ってましたが、そうではなく日系の監督で、主演の唐沢寿明となんとかの作品で一緒に仕事し意気投合、ぜひ次の作品をという背景から実現したのだそうです。こういう過程から、まず良作が生まれることは稀です。

 もしキャスティング・ディレクターなら、杉原千畝は、迷うことなく日本が誇る国際スター、ケン・ワタナベにふります。例の不倫騒動で、凛々しいサムライと思っていたら、若い女の子のオシリを追っかけていたスケベーなおっさんだったことが分かりファンをがっかりさせましたが、こんなことで名前が汚れることはないです。ただし唐沢も決して悪くなかったです。ペーソスの雰囲気のある俳優で、ラストシーンはそのおかげで余韻がありました。ラストシーンはオープニングのユダヤ人が突然あらわれて、どこの街かは知らないけれど飄々と歩く杉原追っかけて無事見つけ出すのですが、おいおい一体どうやって見つけたんだよとトマトを投げつけたくなりました。雲をつかむような話をどうやって実現したんだよ。典型的なご都合主義のスクリプトです。それと杉原の知人の家族はナチスに捕まり収容所送りになるのですが、子供だけは、連合軍に開放され助かるんです。それも連合軍が収容所に入り、大人がゴロゴロと凍死している中、子供だけは全身は深く豪雪に沈んでいるのに、都合よく顔のところだけ雪がかかっていなくて、生存しているところを発見され救出されるんですね。こういうシーンを見ていると、オマエラ観客をなめてんのかと毒づきたくなります。                          

                                            50点

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