愛すれど心さびしく  The Heart is a lonely Hunter 心にいつまでも残る秀作

愛すれど心さびしく  The Heart is a lonely Hunter 心にいつまでも残る秀作

1968年の作品です。この頃、ま、今もそうかもしれませんが、日本語タイトルにやたら愛がついていました。原題とはまったく関係なく。愛の安売りですが、愛をつけとけば日本人は興味を持つと宣伝部は思ってるんでしょうね。
この映画の原題は、心はさびしい狩人で、カーソン・マッカラーズという女流作家によるベストセラー小説の映画化。
アメリカ西部の小さな町に住む2人のろうあ者。シンガーとアントナパウロス。シンガーは宝石店で働く彫刻のアーティスト。アントナパウロスは食べ物だけに興味を持つ巨漢で精神薄弱者。2人はベストフレンドで、シンガーはいつも彼の面倒をみていたけれど、固い友情で結ばれていたんですね。ところが、症状が悪化し、ある町の病院へ移されてしまいます。それを追ってシンガーもその町へ。下宿先を見つけ、仕事を見つけその町の住人になります。
下宿先の突っ張り少女とも仲良くなり、知り合った人たち、放浪者や黒人家族の問題も誠実に解決するため大いに貢献します。
ところがアントナパウロスが病院で死亡。シンガーは彼の墓の前で途方にくれます。ベストフレンドを失い、少女に必死にコミュニケートしようとしますが、運悪く彼女は気まずい初体験をしたところで、シンガーを考慮する余裕がなく冷たくあしらってしまうんですね。
シンガーは夜の町を、あてどもなく歩き回ります。ここが映画のハイライトだと思いますが、手はせわしなく動いています。手話で誰かとコミュニケートしたいという必死の思い。あ、ダメだ。こう書きながら、シーンを思い出しているとウルウルしてきますので少しストップ。
絶望したシンガーは、ある夜拳銃自殺。シンガーの墓を訪れた少女が、シンガーに愛の告白をするところで映画は終わります。
口が聞けなくても、周りの人間を暖かい心で包みながらトラブルを解決しようと尽力したシンガー。しかし、いざ自身が孤独と絶望に直面した時、手を伸ばす人が誰もいなかったという悲劇。シンガーへの哀惜の涙があふれて止まらなかったです。
シンガーは、アラン・アーキン。少女はこれがデビュー作のソンドラ・ロック。ずっと後で、しばらくクリント・イーストウッドのパートナーでした。泥試合の別れになりましたが。
アーキンがとにかく素晴らしい。ゲット出来なかったですが、もちろんオスカー候補。ずっとずっと後になって、「リトル・ミス・サンシャイン」でリベンジを果たしましたが。すごいのが、この前に演ったのがオードリーの「暗くなるまで待って」で、オードリーを追い詰めるワル。真逆の役柄です。
この映画はいつの時代でも、マイベスト5に入る秀作です。
                                   90点

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