27 Sep 帝銀事件死刑囚 占領下の日本で起きた怪事件の一つ
実力派監督熊井啓のデビュー作なんですね。確か小学生か中学生の頃、学校と親の目を盗んで見た一作。なんだか怖いという印象を持ちました。怖い対象が何なのか分からないまま。
終戦直後に起きた事件。帝国銀行支店に、白衣を着て都衛生課員を名乗る男が現れ、近くで集団赤痢が起きたので急いで予防薬(毒物)を飲むよう促し行員16人を殺害し(内4人が生き残る)、お金や小切手を奪った犯罪。これを特に新聞記者の活動から描いたもの。逮捕された画家の平沢貞通は、気の遠くなるような裁判のプロセスを経て、死刑という判決が。そして死刑は執行されないまま、獄中で95歳の生涯を終えるんですね。この映画で見る限り、いろいろなネガティブな要素を持ちながらも、平沢貞通は白。映画が終わりに近づく頃、多分新聞社のデスクなんでしょう、彼が、あの時のことを記事にすればと後悔するシーンがあるんですが、見てる方もそれが気になっていたんですが名前は明かさないまま。どういうことかと言うと、戦時中の悪名高い731細菌部隊にいた人間から手紙が届き、デスクがそれを読むんですが、犯人のやり方は、部隊に居た人間にしかやれない方法。似顔絵からそれはと言うところで、ストップ。続いて政府とGHQからの抑圧があったというカットに切り換わり、そして記事にはしないことに。後悔するシーンでは名前を明かして欲しかった。名誉毀損の問題も出てくるので控えたのかもしれない。生き残った女性行員2人は笹森礼子と山本陽子。笹森は日活女優陣では、ちょっぴり影がうすい存在でしたが、大きい綺麗な目でチャーミングです。山本はまだまだ垢抜けないニューフェイス。今なら、怖い対象が何か分かります。731細菌部隊、政府、GHQ、ジャーナリズム、そして裁判などですね。
75点
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