09 Nov 山椒太夫 巨匠溝口健二監督の名作の一つ
安寿と厨子王の話は、多分誰もが子供時代に読んだり聞いたりした筈。考えてみると、ストーリーは恐ろしい話なんですね。国守をしていた父親が左遷された後、家族、母(田中絹代)、姉(香川京子)、弟(花柳喜章)、侍女(浪花千栄子)は母親の故郷へ帰る旅で、人さらいによって、母と子供たちは引き離され、侍女は海に突き落とされ母は佐渡へ売られ、子供たちは丹後の荘園領主、山椒太夫に売られて辛苦を舐めるという、現代なら、いわゆるヒューマントラフィック、人身売買の話です。姉と弟は、佐渡から売られきた少年が、母がいつも歌っていた歌(二人の名前が入っている)を口ずさむのを聞いて、母が佐渡に売られたことを確信します。二人は逃亡を決め、安寿は厨子王を逃すため犠牲になり、入水自殺。厨子王はt逃亡に成功し、紆余曲折を経て、丹後の国守にまで出世するんですね。そこで山椒太夫を罰します。そして佐渡へ渡り、母と涙の再会を果たすんですね。森鴎外の小説の映画化ですが、溝口マジックで、哀しい物語は美しい抒情詩のような仕上がり。これはベニス映画祭で銀獅子賞をゲット。この頃、監督の作品は海外の有名な賞を連続してものにしてるんですね。今、海外での賞を取ると、鬼のくびを取ったみたいに大騒ぎしますが、こんな時代に黙々を日本映画を世界に知らしめ、認識させた監督に改めて脱帽。
85点
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