10 Jul 孤狼の血 警察VS暴力団の血まみれの戦いを描いたA級のエンタメ
原作は柚月裕子の小説。すごいです。未読ですが女性で男たちの暴力の世界を書ききったのは。広島で2組の暴力団の争いに警察が立ち向かうのを、スピーディかつ暴力的な映像で一気に見せる見応え満点の娯楽大作。
警察側は、役所広司、松坂桃李、暴力団側は、江口洋介、石橋蓮司など。役所の役は、本人いわく警察とヤクザの間のロープを綱渡りしているような刑事。松坂くんはエリートで教科書通りに事を運ぼうとする新米。二人が組むことになるので、もちろん衝突するのは当たり前。発端は暴力団系金融会社の社員の失踪。暴力団らは、一触即発の状態なんですが、一方の組(親分はムショに居て、江口が代理親分)寄りの役所は、親分が出てくるまでは押さえろと、あの手この手で仕切るんですね。
結局、対するヤクザに役所は殺され、最後は、松坂がリベンジみたいな形で、頭がいいので、2組の暴力団を取り押さえることになります。さて、ここからはクレームです。まず役所の殺され方が納得できない。それはフラッシュバックで出てきますが、役所はヤクザ顔負けのデカ。小料理屋みたいなところで酒を飲んでると、ヤクザたちが現れ、無理やり酒を浴びるように飲まされヘベレケになり、豚小屋に連れて行かれ残忍な方法で殺され、河へ投げ込まれるんですね。こんな殺され方に甘んじるヤワなデカじゃないでしょう?ここは一工夫あってもいいのでは。次は松坂くん。江口をうまく引導して、パーティが開かれている会場のトイレでボスである石橋を日本刀で刺し殺す状況をセットアップします。トイレを出てきた江口が、日本刀を持った子分が殺めたと告げますが、松坂くんは、江口に手錠をかけるんです。表面的には、2組を潰したことになり溜飲が下がるのですが、ちょっとちょっとそんなに簡単いく訳ないじゃんと思いますね。江口がボス殺しで裁判になれば、まずトイレには江口とその子分しかいない。何故松坂くんは、江口が真犯人と分かるのかと、ヤクザの弁護士は衝いてきます。となると、松坂くんが関わっているのはバレバレ。現実的には、裁判が始まる前に、両者は取引をし、松坂くんのことは公言しない限り、子分がやったことで手を打つということになるのでは。これを松坂くんのモノローグでもいいので入れると、不条理な社会が訴えられ映画の彫りを深くしたのではと愚考。役所、松坂くん、江口を筆頭に出演者は全員が気合の入った演技で2重丸。ただ中村獅童の新聞記者は、ジャーナリをやっとんのか、ヤーさんをやっとんのかハッキリせんかいと思いましたが。
80点
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