
02 Jan 劇場 又吉直樹の2作目も映画化
「火花」で、お笑い芸人としては初の芥川賞を受賞し、一躍時の人となった又吉直樹。待望の2作目が「劇場」です。火花も映画化済みですが、劇場も映画化されました。本を読みましたが、えらい古臭い、あるいはレトロな物語だなと思ったのが感想。この年代の男女が同居すればエッチは避けて通れないものと思いますが、あえてノータッチ。その意図は何なんだろうとも。ただ、地方出身の人間が持つ、「東京」への劣等感というか、屈折した感情は鮮やかで、さすが芥川賞受賞だけのことはあるなと感心しました。で、映画ですが、一番困るのは、山崎賢人演じる主人公に、1ミリも好感を覚えないことです。このニイちゃんは、躁うつ病か精神分裂症かいなと思いましたよ。ある時は、ささいなことに暴力的になったり、ある時は、優しい言葉を女の子にかけたりで。小説の彼は、こういうタイプではなかった筈。記憶に間違いがない限り。下北沢を舞台に、演劇に夢を追う若者に何の共感も持てなかったです。最後のシーンも才気が走ったアイディアを取り入れていますが、空回り。こういうスタイルが効いていたのは、「蒲田行進曲」ぐらいではないでしょうか。多分、監督とか俳優ではなく、脚本の責任だと思います。持論としては、小説と映画は違って当たり前だと思っています。ただし、エッセンスさえ失っていなければという条件付きですが。この映画エッセンスがあるのかどうかもはっきりしなかったです。お笑い芸人志望の若者2人をただ追っただけのような火花もつまらなかったですが、この映画もつまらない。又吉の小説は、もしかしら映像化するのが難しいのかもしれない。
60点
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