人間蒸発    異色のドキュメンタリーだが今村監督はずるい

人間蒸発    異色のドキュメンタリーだが今村監督はずるい

ずっと見たいと思っていた映画です。ユーチューブに上がっており、白黒ですがクォーリティも良く、これはラッキーとばかり一気に観ました。見終わってすぐ思ったことは、今村昌平監督ずるいということです。
1967年の作品ですが、当時社会から消えてしまう人間蒸発が、社会現象になっていたんですね。早川佳江さんと言う女性の婚約者が蒸発し 彼女が付添人のような俳優露口茂と一緒に彼を探す日々を、鬼才の今村昌平監督がカメラを回した作品です。映画を観る内に、これは婚約者を探すのが主流ではなく、その周りの人間を暴くのが目的なんだという意図が見えてきます。よって、タイトルは人間蒸発ではなくて、人間模様にした方がいいと思ったぐらい。ま、監督自身も出演していて、これはドキュメンタリーではなくフィクションであると最後の方で、何度も後付けしていますが。
封切当時、早川さんが撮影中、露口に恋してしまう事が、センセーショナルに騒がれましたが、どうってことない。淡い恋心という感じです。周囲の男と比較し、背も高く亜流のハンサムガイだとも言え、ま、洗練されている感じの露口と四六時中一緒に居れば、当然そういうことも起きるでしょう。それに気付いた監督は、そこを掘り下げようと公言するんですね。それをカメラに収めているのは正直と言えば正直ですが。その後、クラブで露口が佳江さんの肩を抱いて飲んでるシーンや、親密なダンスのシーンを撮ってるんです。商魂たくましい。佳江さんというのは、頭がいい人だと思いました。状況が正確に把握でき、言葉も外れていません。映画が進むにつれて、服装も洗練されていきます。ただ、佳江さんと婚約者の馴れ初めの説明がなく、どうなんだろうと思いましたが(見落としてないですよね?)。監督にみんなが上手く回された映画。でもとても面白い。今村昌平が監督として鬼才たる所以です。
                   75点

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