万引き家族 カンヌ映画祭で最高賞を得た日本映画 - Kenjis Movie Review
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万引き家族 カンヌ映画祭で最高賞を得た日本映画

 言わずと知れた、今年のカンヌ映画祭の最高賞パルム・ドールを獲得した是枝裕和監督の「万引き家族」。これは今村昌平監督の「うなぎ」以来、21年ぶりの快挙となりました。それにしても、是枝監督はカンヌ映画祭に強い。監督の映画はこれまでカンヌ映画祭で、いろいろな賞を取っていますよ。もう一人、日本人でカンヌ映画祭に強い監督は河瀬直美ですね。
 映画には内容と人物の関係がすんなりと頭に入ってくる映画と、見終わって解説などをチェックして、ああこういうことなのかと合点が行く映画がありますが、これは後者の方でした。
 東京の下町の今にも崩れそうな一軒家に住む家族。今どきこんな貧乏くさい家が存在するんかいなと思うような狭い家に、5人がひしめき合って住んでいます。おばあちゃん(樹木希林)、夫婦(リリー・フランキーと安藤サクラ)、思春期の娘(松岡茉優)、それに少年の5人。そしてフランキーと少年は、色々なところで万引きをする親子なんですね。映画の初めは、おばあちゃんは年金を貰い、夫婦も働いており娘も風俗の売れっ子で、正直思ったのは、皆んなでお金を出し合えばもっとスペースのある小ぎれいな家に住めるじゃないかいうことでした。ま、監督の意図することにはまったく関係のないことですが。
 監督は、死んだ後も嘘をついて年金をもらっていた家族の事件をヒントに、10年間の構想のあと映画化したのだそうです。
あ、それから映画は途中で家族に虐待されていた少女も一家に加わります。で、蓋をあけると本当の家族ではなく擬似家族だったことが分かるのですが、多分監督が意図したであろう、本当の子供を虐待死させるような残酷な事件が日常茶飯事となった今、血の通わない擬似家族であっても、笑いと涙があり暖かい気持ちが通じ合う家族になれるという思いは、十分に伝わります。ただしエンディングは、この家族はバラバラになるという一筋縄ではいかない現実が待っていますが。ただ、個人的には2点、理解できないというか首をかしげました。一つは、少年はフランキーが駐車場で車荒らしをした時に連れてきたという設定ですが、車の中の赤ちゃんを盗んできたのか?そうだと内容に合わない(少年はお父さんと呼んでほしいフランキーをおじさんとしか呼べない)。それともものごごろついた頃の少年を連れてきたのか?そうだとラスト近く刑務所に居る安藤から、車の番号を教えられ、そこから本当の家族の元へ帰れるよ言われるシーンが現実的ではない。要するに少年の背景がもやもやしてるんですね。もう一つは、松岡演じる娘の状況。彼女は、樹木の前夫が再婚した女性の息子の娘という役柄ですが、樹木のおばあちゃんが大好きで、家へ転がり込んで生活を一緒にしてる訳ですが、それにしても、皆んなで雑魚寝しなければならないような家で住めるかなと思ってしまいます。こんな生活ダサイと文句をいうような年頃でしょうが。
 これまで是枝監督の作品は3本見ています。「誰も知らない」は文句のつけようがない感動作でした。「そして父になる」はイマイチ。真木よう子がミスキャストで、主役の子役に感情移入できなかったです。
 採点すると、「誰もしらない」が80点。「そして父になる」は60点。この「万引き家族」は70点です。

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