13 Sep ラブ・レター 浅田次郎原作のジャパゆきさんとチンピラの切ないラブ・ストーリー
大昔、日豪プレス時代、ANAがシドニーで浅田次郎講演会を主催した際、依頼され浅田氏にインタビューさせて頂きました。
急きょ決まった仕事で、これまで氏の本を読んだことがなかったので、日本書店へ走り、「鉄道員」の文庫本を見つけ、大急ぎで読んだのですが、その中に収められていた短編「ラブ・レター」を読みながら、涙が止まらなかったことに驚きました。ジャパゆきさんがチンピラに残したラブレターのところを読んでいた時です。浅田氏にお会いした時、この感動を伝えたのですが、それほど関心はない様子に少しがっかりしたのを覚えています。というよりご機嫌がおよろしくなかったのですね。今考えると、そりゃそうでしょうと理解できます。ナイトフライトでお疲れのところ、到着してすぐ(朝の7時ごろだったと思います)、そのままインタビューの仕事を投げられたのですから(場所、時間もANAの仕切りです。念のため)。
中井貴一主演の映画も、その手紙のところで泣けました。中井チンピラが、ジャパ行きさんである中国人女性のため、お金をもらって偽装結婚してあげるんですね。それだけの関係ですが、女性は病気で死亡、残された遺品の中から手紙、中井へのラブレターを発見するという物語です。中井がやはり素晴らしい。助演の根津甚八、山本太郎、倍賞美津子もとてもいいです。藤原紀香似の中国女性も、薄幸な感じがよく出ていました。ただ、2箇所ウン?と思ったシーンが。火葬場で拾った黒こげになった彼女の指輪(中井が彼女にプレゼントした安物)を子分の山本にあげちゃうんですが、彼女は辛い日々、指輪を見ると幸せになれたと言ってる愛のシンボルだろうが、彼女のメモリーとしてちゃんと取っとけよと思いました。それからラスト近く、雪の上での彼女の幻想シーンがくど過ぎると思いましたが。
75点
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