モリソンVSショーテン逆転劇の内幕

モリソンVSショーテン逆転劇の内幕

5月にあったオーストラリアの連邦選挙の結果に、ほとんどの人が腰を抜かしたのではないですか。間際までの世論調査では、圧倒的にショーテン率いる労働党の勝利が それも大差で、間違いないとされていたし、いわゆるコメンテーターも、そうがなりたてていたので。
モリソンに勝ってほしい願っていましたが、今回は無理だと諦めていました。で、その土曜日選挙結果を見るのをパスし、映画を観に行ったぐらいでした。それが映画から帰りテレビをひねると、なんとモリソン優勢が伝えられているではありませんか。そこからはテレビから一歩も離れず、かじりついていました。そして、モリソン勝利、与党保守連合(自由党、国民党)の勝利が確定した時は、思わず万歳三唱をしていました(日本人!)。この逆転劇の顛末を、与党保守連合の首相交代からレポートしたスカイチャンネルのドキュメンタリー、「Bad Blood,New Blood」が2晩に渡り放映され、話題に。
Bad Bloodは、与党保守連合の首相交代劇で、すっかり株を下げた元首相のターンブルと彼の息子をレポート。息子?と訝る人が居ると思いますが、この息子、とんでもない愚行をしでかしたんですね。敬愛する父親が、首相の座から引き下ろされたことに義憤を感じたのでしょう。選挙中、「自由党には投票しないように」というメッセージを本人が自らそう訴える動画をユーチューブにあげたんですね。それを見ながら不思議な気持ちになりました。こんな若造の訴えを誰が聞くんだろうと。首相の息子だからという特権意識があるのではないかと。それから、この青年の最大の愚かさは、勿論ユーチューブを使ったこと。この画面は永久に残ります。ことあるたびに、リピートされますよ。こういう蛮行を、本人の独断だけでは実行できないと思います。父親に確認を取っている筈と推測できますね。となると、え、ターンブルってそんなに品性のない人間だったのかと疑ってしまいます。
ターンブルが、アボットを蹴り落として首相の座に就いた時、ターンブルの好感度は良かったと思います。
コーポレート・ローヤーとして大成功を収めビッグ・リッチマンになったターンブル。ポイント・パイパー(シドニーの超リッチの人が住む地域)に豪邸を構えています。一方でチャリティー活動にも積極的で、昔取材したこともあるキングスクロスにある、ホームレスや問題を抱えた若者たちの救済所「ウェストサイド・チャペル」が、財政難になった時、ポンと数ミリオンを差し出し、そのおかげでチャペルは、現代的に一新したのはよく知られた話。
ただ首相としての、求心力は次第に落ちていきます。この首相は、行動力がなく人気を一番気にして、政策を打ち出してもそれが不評だとすぐ変えるという評判も。与党保守連合が世論調査で、労働党を下回った状態がずっと続き、内部での不穏な状態が漏れ伝わるようになるんですね。
そして下克上が。野心的なダットンが手を上げ、首相候補を宣言。ターンブル対ダットンは党内での投票結果ターンブルの勝ち。ダットンは大恥をかいた訳ですが、ターンブルはそれでも限界を自覚したのか、首相から引退。今度はモリソンも手を挙げ、再びダットン対モリソンの投票結果はモリソンが勝ち、ダットンは再び恥をかき、モリソン首相が誕生です。
ターンブルの地盤はウェントワース(イスターン・サバーブ地域で、昔から自由党が席巻。彼が引退後の臨時選挙では、同党のシャーマをサポートしなかったことで批判が。シャーマは落選。無所属のフェルプス女史が当選(カミングアウトしている知名度の高いドクター)。ただ続いて連邦選挙になったため再びシャーマ対フェルプスの戦いになりましたが、シャーマはリベンジを果たし当選。この頃になると、ウエントワースのスターだったターンブルへの反感が。恨み深いキャラに、住人がうんざりし始めたのでは。
それに連邦選挙の戦いの真っ最中に、同党のバンクス女史が党内でのパワハラを理由に離党し無所属になり足を引っ張りました。なぜかターンブルの息子が彼女へのサポートを公言するんですね。誰がパワハラをしたのかも明言しませんでした。選挙結果は彼女は落選。ザマーミロとは言いませんが、茶番劇でした。
政治の世界で、下克上とか今日の友は明日の敵とか、魑魅魍魎の世界というのは、常識。引退後のターンブルを見ていると、この人はとてもナイーブな人で首相の座を奪われたことにとても傷ついているんだなと感じました。
選挙の戦い中、元労働党首相ホークが死去。もっとも愛された首相というコメントが飛び交いました。昔インタビューさせて貰いましたが、豪快なオーラに親近感が加わった人という印象を持ちました。ターンブルにどんな形容詞がつくのか。まさか、首相の座を追われ、それを恨み、息子と一緒に自身の党の足を引っ張った億万長者の首相というのは勘弁してほしい。実は、引退するまではファンだったんです。

New Bloodは総選挙で、モリソン対ショーテンをフォーカースしたもの。つくづく思うのに、労働党党首ショーテンは嫌われ者なんですね。選挙間際までの世論調査では圧倒的に労働党有利という結果が出ていましたが、同じく誰が首相として好ましいかの世論調査では、最後まで一度も勝てませんでした。この人を見ながらなぜこうも嫌われ者なんだろうと考えましたね。筋金入りのユニオンの出身者。ふっくらとした美人の奥さんが居て可愛い子供達も。ファミリーマンでもある。ただ何か信用できないオーラがあるんですね。誠実を絵にかいたようなモリソンとは対照的。勿論表面的な印象です。
低所得家庭の出身がウリでを選挙中そうアピールしていましたが、メディアに母親は弁護士だったことをすっぱ抜かれました。
今回の選挙で一番の爆笑モノ(最悪の意味で)は、選挙後にメディアが明るみにした、労働党ビッグ5の写真。勝利を疑わなかったので、選挙後のメディアリリースの勝利版写真を用意していた訳です。ショートンが中央に座り、彼を後の4人(例のカミングアウトしているウォング女史を含め女性2人、現在のリーダー、アルバニージーは入っておらず、彼は亜流の人)が囲むような構図で、まるでロイヤル・ファミリーの記念写真のようなもの。大笑いさせてもらいました、労働党というのは庶民の味方というのがウリだったのに、いつのまにこんなに鼻持ちならない特権意識の強い党になったんだろうと思いましたよ。
それから、あるTVジャーナリストが、今回の結果は、トランプ対クリントンの戦いをリピートしたと、得意げに解説していましたが、おいおい待ってくれよと言いたい。確かに世論調査やメディアの予測がまったく当てにならないというのは同じですが、あちらは投票者が狂ってしまった結果で、こちらは投票者が正気を戻した結果と愚考したい。
New Bloodは、モリソンに好意的で、大いに株を上げました。番組内での様々なコメントも、的確で暖かさがこもっていました。番組では、勝因、敗因を明確にしませんでしたが、感じとして、労働党の政策が気に入らないなら、投票しなければいいという傲慢なコメント、あるいは政治激論の相手のシェイクハンドを拒絶したウォング女史のマナーの悪さなどで馬脚を表し、ショートンの人気の低さが上乗せになり負け、ミスター・アベレージ・オージーの言動に徹したモリソンが勝ちというところでは。
モリソンをキャプテンにした船は、出航したばかり。たとえ行く手に大嵐が待っていようと、沈没しないよう祈っています。

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