映画ジャーナリスト・坂井健二の映画批評ブログ:当ブログは、劇場、TV、DVD、あるいはYOUTUBEなどで観た映画を、新旧ごちゃ混ぜで、洋画一本、邦画一本を取り上げてレビューします。

ウエスト・サイド・ス-トーリーWest Side Storyオリジナルには及ばないスピルバーグのリメイク版

天才スティーヴン・スピルバーグが映画「ウエスト・サイド物語」をリメイクするのを知って、まじかよと思いました。1961年のオリジナル版は、パーフェクトと言っていいぐらい完成度の高い作品。個人的には、リメイクはオリジナル版を超えてなければ、意味なしと思っているんですが、ふーん、スピルバーグだから、何か新風を吹き込んで、ユニークな仕上がりかもしれないと、興味津々で見に行ったのですが。

「ロミオとジュリエット」を下敷きにしたストーリーの展開は、オリジナルと殆ど同じ。大きく違う点は二つ。一つは、オリジナルに出ていたリタ・モレノ(リチャード・チャキリスの恋人役、共にオスカー助演賞をゲット)が、雑貨屋を営んでるおばさん役で奮闘。要所要所で重しになり、画面を引き締めます。二つめはオリジナルのトニーとマリア役のリチャード・ベイマーとナタリー・ウッドの歌は吹き替えでが、ここでは全員が自身で歌っています。

まずオープニングの迫力が違っていました。敵対視するグループの男たちの小競り合いのダンスで、オリジナルは、チャキリスが二人の男を従え、ビルをバックに足を高く上げるシーンに観客は圧倒されたと思いますが、そういうアピールするダンスシーンがリメイクにはない。

とにかく数で勝負という感じで、出てくる人間は多いのですが、心に残るようなダンスシーンはなかったです。そうそう今回初めて気づいたのですが、両作品とも、トニーはマリアの居るベランダに駆け上がり、「トゥナイト」を歌ってるんですね。何を言おうとしているかというと、フランコ・ゼフェッレリ監督の大ヒット映画「ロミオとジュリエット(オリビア・ハッセイが人気スターになったやつ)」で、ロミオは木を登りベランダでジュリエットと抱擁とキスを交わすのですが、これまでにない若さを象徴した斬新な映像と騒がれましたが(それまではベランダのジュリエットと地面のロミオで、上と下のラブシーン)、何のことはない。オリジナルでもうそれをやってるんですね。オリジナルの方が先に作られたので、監督はここからアイディアを貰ったのでは。ま、どうでもいいことですが。

オリジナルの主役4人の内、ウッドは周知のように40代で溺死という悲劇に見舞われましたが、3人は現役です。

          リメイク版は、残念ながらコケました

日本での封切りはこれからですが、アメリカを始め各国では封切られており、批評は概ね好評だったものの、客が入らなかったんですね。多分、見た人への最初の質問は、「オリジナルと比べてどうだった?」というものだと思いますが、「オリジナルには及ばない」と答えだったのでは。それが浸透し、それじゃ見るのやめようという現象になったのではと愚考します。

もしというのはあまり意味がないセンテンスですが、オリジナルが存在せず、スピルバークの作品が初めての映画化だったとすれば(ウエスト・・は50年代にミュージカルとして上演され話題になりましたが、現在のように誰でもが知っている作品になったのは、オリジナルの大ヒットによってなんですね)、絶賛され大ヒットになったのではないかな。監督を先頭に、オーディションで選ばれた出演者全員が、持ってる力100%出し切った、情熱、あるいはパワーやエネルギーは、十分伝わってきます。

出演者は、マリア役の女優をはじめ多くが無名の俳優ですが、トニー役のアンセル・エルゴートだけは主演作も数本ある、注目の若手スターです。

      80点

 

 

 

 

 

 

 

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