アデルの恋の物語    The Story Of Adele H 狂気の愛の切なさを描いた秀作 - Kenjis Movie Review
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アデルの恋の物語    The Story Of Adele H 狂気の愛の切なさを描いた秀作

ヴィクトル・ユーゴーは、勿論フランス文学の文豪。でも今では、ミュージカル「レ・ミザラブル」が世界中で大ヒットしたため、「レミ」の原作者という方が通りがいいかもしれないですね。ユーゴーの次女アデルの狂気の愛を描いたもので実話。1860年ごろの物語。監督はトリュフォー。
一度だけ愛し合ったことがある、イギリス中尉に愛を捧げ、彼を追って海を渡りカナダまで行き毎日愛の手紙を書き、送りつけるんですね。返信は一切なく、最後には中尉に、面と向かって「愛してない。早くフランスへ帰るように」と宣言されるのですが、アデルの彼への燃えあがる愛は、静まりません。異郷での孤独、行き所のない愛、それに家族への屈折した思いなどに蝕まれ、アデルは狂ってしまうという切ない愛です。最後は通りですれ違う愛しい中尉が誰か分からない程になってしまうんですね。
アデルを演じるのは当時は無名の新人だったイザベル・アジャーニ。憑かれた愛というのを体現して素晴らしいです。以降オブセシブな女を演じるのが十八番となりました。そしてこれで一躍国際スターに。取れなかったもののオスカーにもノミネートされました。これだけで、フランス映画界では、カトリーヌ・ドヌーブやロミー・シュナイダーと並ぶ大物に。
アデルが下宿していた家の主人が、父親のユーゴーに状態を説明した手紙を書いたことで彼女はフランスへ連れ戻されるのですが、映画の終わりに、85歳で亡くなるまで収容されたという精神病院での彼女の写真がスクリーンに。胸が痛くなるようなカットです。
           80点

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