03 Jul スリー・ビルボード Three Billboard Outside Ebbing,Missouri
挨拶に困る映画でした。主演がお気に入りのフランシス・マクドーマンド。クライム・サスペンスは好きなジャンルなので、期待して観に行ったのですが、何とも後味の悪い映画でしたね。ミズリー州の小さな町で、若い娘がレイプされ焼き殺されるというショッキングな事件が起きます。
犯人がなかなか見つからず、母親(マクドーマンド)は、犯行現場でビルーボードが3つ放置されていることを知り、お金を出してそれを使い警察の無能を訴える訳ですが、ある夜ビルボードは全焼し、警察の仕業(後で警察ではないことが分かります)と怒ったマクドーマンドは警察に放火しうっぷんを晴らすんですね。
クビになった敵対していた警官サム・ロックウェル(オスカー助演賞)が怪しげなバーで飲んでいると、都合よく!後ろで飲んでいた男が女をレイプし焼き殺したと豪語しているを耳に挟み、これが犯人だと確信しマクドナルドをサポートし警察にたれこむんです。
ところが警察が調べると、この男は事件が起きた頃は、ソルジャーとして海外に居たこと分かり、警察はアホマッチョがアホ友達にホラ話をしていたんだろうと結論付けるのですが、ふたりはこういう男は絶対に残虐な犯罪を犯している筈だと、銃を持って男が住む町へ向かうところで映画は終わります。
トランプを大統領に押し上げた最大の功労者といわれる白人の労働階級の息づかいはリアルですが(特にロックウェルの母親が秀逸)、頭をかしげました。
まずこの母親、警察を全焼させた犯罪者です。娘(不良だった)を失くした怒りと悲しみは分かりますが、真面目な息子のことはどうするんだよと言いたい。
それにラストは途中で目的を断念するだろうと予測できる会話で終わりますが、こんな理由で殺されてはたまったもんじゃない。
観たのはオスカー直前で、絶賛され作品賞を始め総ナメすると予測されていましたが、ふたを開けてみると作品賞は口のきけない孤独な女性と怪人とのラブストーリー、「シェイプ・オブ・ウオーター」が取り納得。絶賛する日本での批評をチェックすると、性善性悪説は置いといて、人間の心の魑魅魍魎(ちみもうりょう)を描いた秀作というのが殆どでしたが・・・・。ある時こちらの批評で目にしたのが、ベスト ・ブラック・コメディというもの。なるほどと膝を叩きました。ブラック・コメディとしてみると全編つじつまが合うんですね。膝を叩いたのはいいんですが、ただ観てブラック・コメディと思えなかったものをブラック・コメディと言われてもね。
オスカーの演技賞には何の文句もありません。「ファーゴ」に次いで、2度目の女優賞をゲットしたマクドーナンドは、メリル・ストリープに匹敵する演技派。ただしストリープの持つエレガンスはありません。オスカーナイトにも、家のカーテンを引きちぎってつくったようなドレスを着て出席していました。
60点
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