24 Oct 華岡青洲の妻 2大名女優が火花を散らした文芸作
華岡青洲は実在の人間で、世界で初めて全身麻酔を用いた手術をしたことで有名です。効果のある麻酔を作るため、最初は動物をモロモットにして試行錯誤しますが、次の段階として人間での実験が必要となり、母(高峰秀子)と妻(若尾文子)が競うように志願するんですね。それがメインのドラマ。妻の人体実験で麻酔は完成しますが、結果妻は失明という悲劇が。青州は市川雷蔵。見所は何と言っても、高峰と若尾のぶつかり合い。京都へ医者として研鑽中のため主人不在で、高峰に憧れて嫁いできた若尾ですが、青洲が帰って来ると嫁と姑の関係が一変し、女同士の戦いが始まるんですね。二人とも一歩も譲らない熱演。ただ、この映画では、二人を差し置いて雷蔵が主演賞をゲットしてるんです。強い的確な演技ですが、二人の名女優を凌いでいるとは思えない。漁夫の利と言えるのかもしれない。ただ最初から最後までの映画の流れを見ると、タイトルもそうですが、これは雷ちゃんでもデコちゃんでもない、若尾文子の映画だということがよく分かります。有吉佐和子の小説の映画化。監督は増村保造。白黒で1967年の作品。
85点
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