02 Mar 人間失格 太宰治と3人の女たち 俳優の殆どがミスキャスト
破滅型の文豪太宰治と,彼と関わった3人の女たちのドラマ。監督は蜷川実花。父親は、灰皿投げが有名な、高名な舞台演出家蜷川幸雄。この人の作品は、これを含めて3本見ていますが、どれもさすが写真家出身でだけに、色の使い方はうまいと思うものの、人間ドラマとしては、何も訴えてこないなというのが感想です。小栗旬が太宰です。髪型を真似て、タバコをスパスパすい酒をガバガバ飲んで血を吐いても、太宰治にはなれなかった。誤解しないでくださいね。彼のファンなんですよ。だから、ハリウッドデビューとして大いに話題になったゴジラの大作で、エグゼクティブプロデューサー(発言力がある)として日本人2人が名前を連ねるのを見て、もっといい見せ場を用意してあげればいいのにと憤慨したぐらいですから。あと、三島由紀夫やら坂口安吾やらの俳優も、全くその時代の感じさせないミスキャスト。3人の女たちも大した印象を残さない。贔屓の沢尻エリカはここでは全く無能。辛うじて太宰の妻役宮沢りえが少しだけ心で演じるシーンが。でもほんの一瞬です。壇蜜が働く小料理屋の2階の待合室の壁紙のド派手なこと。あの時代にあんな壁紙はないでしょう。もっとも心に響く作品であれば、そんなことはどうでもいいんですが、そんなことに気を使うヒマがれば、もっとマシな映画を作れよと思いましたよ。それからヘルタースケルターのレビューで触れましたが、沢尻が男とやっている最中腕時計を見て時間を確かめるシーンはジェーン・フォンダの「コールガール』からのパクリ、今回は小栗が白い花に埋もれるシーンは、「アメリカン・ビューティ」からのパクリ(こちらは裸の美女が赤いバラに埋もれるシーン)だと思いましたよ。ま、特筆すべきは、この人の作品は全て黒字なんんですね。これは現在の映画界では希少価値です。よってこれからも作品が続くと思います。
60点
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