19 Jan リチャード・ジュエル Richard Jewell クリント・イーストウッド監督の最新作
まず特筆すべきは、今年の5月で90才を迎えるイーストウッドが監督として最新作を出したことです。映画への情熱がみじんも衰えていないことに脱帽です。すごい。
1996年、アトランタでオリンピック開催中、ミュージックフェスティバルが開かれていた公園で、警備員だったリチャード・ジュエルは不審なバックを発見、それが爆弾だっため爆発するんですが、被害者を最小限に食い止めたことで、英雄視され一躍有名人になります。ところが一転し、FBIは彼を容疑者にした実話の映画化。
彼と彼を弁護することになるダメ弁護士(サム・ロックウェル)の不正への戦いがメイン・ストーリー。
この映画では、FBIとメディアがいかに腐っているかを暴露します。一転して容疑者になった理由は、彼が以前警備員として勤めていた大学の学長からのタレコミなんですね。学生からのクレームが多くてクビになったこと、彼がマニュアルに沿ったハウツーだったため融通が効かないというか、学生には不人気だったという単純なものです。そのタレコミからFBIは、大デブでホワイトトラッシュ(白人下層民)が、英雄になりたいためとプロファイルし、自作自演ジュエルが容疑者と結論づけるんですね。
メディアの横暴ぶりも描いています。とくに特ダネをゲットするためには枕営業も辞さないビッチジャーンリストなど。こういうのを観ていると、例のトランプがメディアはフェイク、フェイクとバッシングするのはさもありなんと思ったりします。本当は「あんたが一番ビッグなフェイクだよ!」と言い返したいのですが。
最後は、FBIから無罪であることの手紙をもらい戦いは終わります。傑作だとは言いませんが、一流監督として何の緩みもないイーストウッドは、素晴らしい。ロックウェルとジュエルの母親役キャシー・ベイツがやはりうまい。主役のポール・ウォルター・ハウザーは、この役をゲットした時、一躍値千金と歓喜したのでは。最後に3人の後日談(ジュエルは44才で心臓に関わる病で死去)が説明されますが、この事件の加害者であるジャーナリストやとにかく犯人に仕上げようと策略したFBIの2人、そして特にこの悲劇の発端となった学長の後日談が知りたいと思いました。
75点
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