21 Apr ドライブ・マイ・カー国際的な評価を得た日本映画
国際的な評価のピークと思われるオスカーで、最優秀外国映画賞を取り、有終の美を飾った作品。その前にカンヌ映画祭やゴールデングローブでも賞を取りと、久しぶりに日本映画が国際的に評判となり、日本人としては誇らしい気持ちになりました。村上春樹原作とのこと。心に傷を負った人間たちの再生がテーマ。妻を失くした舞台演出家(西島秀俊)を主人公に、彼の舞台に出演する俳優たちや、女性の専属運転手(三浦透子)のドラマが交錯する。素晴らしいのは、まず西島で、次は三浦。西島のてらいのないしみじみとした演技で中年男の悲哀を、見る側は素直に同調できます。三浦は面構えだけで、何かを抱えている女性というが容易に見てとれる。映画の中で、目を開かせたくれたのは、「ワーニャ伯父さん」の舞台劇。多言語劇というのかな、いろろな国の俳優がそれぞれ自国の言葉を喋り合同で劇を作ってるんですね。観客は、舞台上のスクリーンでその意味を理解するシステム。聾唖者の役者だっている訳です。こういうのを見ていると、芸術は国境を越えるというのを素直に理解できます。脇の人物もそぞれの個性が光ります。2人の韓国女優もとてもいいですが、一番印象に残ったのは背の高い韓国男優。聾唖の女性の夫役です。善人そのものの顔つきと暖かい演技です。少し弱いと思ったのは岡田将生。アイドルの座を捨てて、舞台役者として本物の俳優を目指そうとする役柄ですが、喧嘩早いキャラで、人を殴り殺すという事件を起こす割には、凶暴性の片鱗が足りない。後、思ったことを2−3点。主人公の名前は家福悠介(カフク・ユウスケ)で、これはカフカのもじり?ラストシーンが話題なっていますが、うかつにも場所が韓国に移っていたなんて、全く気づかなかったです。赤い車は家福からもらい、大好きな犬も手に入れ、表情も明るく運転手は再生したのだと思ったんですね。2人の間に男女関係の愛は微塵も感じず、人間愛でつながったものと解釈したので、2人が一緒に何とかかんとかというのは全く同意しませんね。ひとつ、あれっと思ったシーン、西島と岡田が車の中で、亡くなった女性に関してかなり難しい会話をしているシーン。西島は岡田に向かって話しているのに、岡田はカメラに向かって話してるんですね。俳優がカメラに向かって話す映画も多々ありますが、何故こういうカメラワークなんだろうと思いました。もちろん監督のミスではないですよ。意図的なものだと思います。アンバランスの妙。それとも。ただの遊び?
80点
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