29 Nov ザリガニの鳴くところWhere the Crawdads Singミステリーものとしては疑問が残る
2021年のアメリカで最も売れた小説だそうです、「ザリガニの鳴くところ」は。フロリダのような湿地帯で、一人とり残された幼い少女が、厳しい環境の中で成長し、独立した人間になり、絵(動物)の才能を開花させるドラマ。二人のボーイフレンドができますが、最初の彼は(優しく読み書きを教える)もっと世の中を見たいという希望が、運悪く二人の約束を破ってしまう結果を招き別れ、次の彼は、金持ちの息子で、DV系でストーカー気味でもある危険人物。映画は、この男の死体が発見されたところからスタートするんですね。古く高い眺望塔のような所から落下した死体です。殺人容疑でヒロインは逮捕され、裁判が始まり、フラッシュバックで彼女の生い立ちが語られます。ここで2点、首を傾げたんです。DVの父親に愛想をつかしまず母親が家を出ます。そして次々と兄や姉が(4、5人いたと思います)、家を出て、幼いヒロインは父と二人きりになり、そして父が病死した後、福祉を拒み、電気も引けていないオンボロ家で一人で暮らすんです。ムール貝を採りそれを善人の黒人夫婦がやってる雑貨屋で生活用品と交換してもらうのはいいとしても、湿地帯には危険なワニや毒蛇がウジャウジャ居るはずで、そんなところでよくサバイブできたなと言う疑問。もう一つは、ゾロゾロ出て行った家族の誰一人として彼女が大丈夫かどうかと見に帰ってこないことです。本も読んだ、映画も見たと言う人に聞くと、本の方が段違いに良いとのこと。林真理子のYOUTUBE「マリコ書房」でこれを取り上げていましたが、殺人事件は起きるものの、湿地帯の描写も素晴らしく感動的と評価していました。未読ですが、湿地帯(ザリガニの鳴くところ)で生まれ生きた女性の生涯が感動的に綴られているものと推測されます。ただ映画はフーダニイットが本題のミステリーなんですね。死んだ男がいつも付けていたネックレスが消えていたことから、ネックレスを持ち去った者が犯人という結審で彼女は無罪となり、それからの人生は、最初の彼とヨリを戻し、アーティストと成功し、幸せな人生を送ります。現在日本で上映中なのでネタバレは厳禁だと思っていたのですが、何とネットで丸出しなんですね。これマナー違反だと思います。真相を知ってみるのと知らないで見るのはえらい違いですので、抽象的な言い方しかできません。ネックレスは意外なところから発見されますが、そうであるならば、こことここはどうやったのか具体的に説明して欲しいと思いましたよ。
70点
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