キャッツ   Cats パンチのない平板な映画版 - Kenjis Movie Review
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キャッツ   Cats パンチのない平板な映画版

昔、シドニーでの舞台初演を期待を持って観に行きましたが、「メモリー」という美しい曲には感動したんですが、それ以外はどうってことのないミュージッカルだなというのが感想でした。
映画版は、監督がトム・フーバーと聞いてフーンという感じ。彼の「レ・ミザラブル」は舞台よりかなり落ちると思ったので。「レミ」で一番疑問に思ったのは、出演者を実際に歌わせて撮ったということ。何故?リアリズムを求めてとか。ミュージカルはファンタジーじゃないですか。日常の会話を歌で交わすなんてしないでしょう。映画の歌は、スタジオ録音でいいので、朗々とダイナミックに歌い上げてほしかった。「夢やぶれて」も「カフェソング」も感情を入れ過ぎた演技的な歌で、せっかくの美しい悲しい歌を台無しにしたと思いました。「キャッツ」も“リアリズム”を取り入れたんでしょう。セットは猫の視点からのサイズになっています。ところが、イアン・マッケランがステージに立つ前の楽屋のシーンでは、人間の視点でのサイズになっていてちぐはぐ。言いたいことは、そんな小賢しいことはしなくてよっかったんじゃないでしょうかということです。その代り舞台ではできない映画のマジックパワー特撮を大活用して、猫ちゃんたちなんだから、アクロバット的アクションを満載すればいいのにと思いましたよ。
ベテラン女優のジュディ・デンチが貫禄を見せていますが、ゴールデン・グローブ賞の司会者、リッキー・ジェイヴァスがこの映画のデンチを最悪の卑猥な言葉でからかったのをご存知ですか。ここでは記述できないのでネットでチェックしてください。キャッツはアメリカでは酷評され、大コケしました。「レミ」の興行的な成功で、この監督としての仕事が回ってきたと思いますが、この大失敗で、ミュージカルはもうやらないと思います。ミュージカルには向かない監督と思うのでその方がいいと思います。フーバーの名誉のために付け加えると、故リチャード・アテンボロー(同じイギリス人です)のミュージカルの最悪の映画版「コーラスライン」よりは少しマシです。
                            50点

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