17 Jul アメリカの夜 フランソワ・トリュフォー監督がオスカーを取った秀作
アメリカの夜、または英語のタイトルはday for nightで、これは業界用語で、夜のシーンを昼撮るということだそうです。これは自己流のこじつけですが、虚構の世界あるいはマジックの世界を暗示しているのかもしれないと。
ある映画作りの中での様々な人間のドラマで、トリュフォー自身が監督として出演しています。全編に流れる軽快な音楽をバックに、観客に届くのは、映画を作ることはエンドレスな問題や苦労や悲劇があるが、それを越えて愛と夢に溢れていることだというメッセージ。
アメリカから呼んだ主人公のヒロインは、ジャクリーヌ・ビセット。精神的な病から立ち直ったばかりの女優。ヒロインの夫はトリュフォー監督の秘蔵っ子ジャン=ピエール・レオ。夫の父親とビセットができてしまい云云というものですが、それは大して重要ではなく、映画作りに関わる人間たちのドラマがメイン。トリュフォー監督はオスカー(外国映画賞)をゲットしました。
ビセットをインタビューしたのは、女優としてのピークは越えていましたが、テレビ映画のために来豪した時。加藤雅也共演でした。彼が国際俳優を目指していた頃です。シドニーの郊外の一軒家を借りてロケ中の時で、彼女のトレーラーでえらく待たされたのを覚えています。大柄のグラマーな美女だと思っていたのですが(「ディープ」などの印象から)、華奢で背が高い訳ではないことにへぇーという感じでした。「私自身は、インテリジェントな人間だと思っています」とコメント。多分美しさだけが話題になるのに嫌気がさしていたのかも知れません。70年代を代表する美女は数多いですが、現在も映画に出ている女優はカトリーヌ・ドヌーブとビセットとシャーロット・ランプリング。ドヌーブは、ま、別格。ランプリングが干からびたおばあちゃんになってしまったのに対して、それはそれで凄みがあり強烈なカリスマがありますが、ビセットはもちろん老けていますが、イメージは変わらずセクシーです。
それからこの映画に戻ると、多分フランス映画に詳しい人にしかわからないと思いますが、ナタリー・バイが出ています。すらっとした長身で、ジーンズにメガネをかけた助監督の役。後にフランス映画を代表する大女優になりました。
85点
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