07 Mar おとうと市川崑岸惠子コラボのベスト作品
市川崑監督のミューズが岸惠子だというのは有名です。二人がコラボしたものはかなりありますが、この映画がベストだと思います。原作は、幸田文の小説「おとうと」。父は、明治の文豪幸田露伴です。自伝的なストーリー。父親が作家(森雅之)。後妻の継母(田中絹代)。長女(岸惠子)とその弟(川口浩)という構成の経済的には豊かではない知識階級の家庭。親子の交流というものがなく、特に弟は継母とギクシャクとした関係。その家をとにかくまとめているのがしっかり者の姉。弟は非行に走り、と言っても、現代の眼で見れば、やんちゃをするという程度のものです。継母もモンスター・マザーインローというのではなく、ま、あまり暖かみは感じられないというレベルですね。焦点は姉と弟の愛情。これは岸の好演と川口の気負いのない演技で、実感できます。ハイライトは、ラストシーン。肺病で死亡した弟(病床の弟の動静を知るため、そばで寝る岸はお互いの手を紐で繋いでおくんですが、効果的)。涙も流さず、後を仕切るため気丈に振る舞うのですが、かえって深い悲しみが分かり感動的です。岸惠子さんにインタビューの際、「市川監督の前ではまな板の上の鯉になれます。そういう風に思える監督は少ないですよ」とコメント。川口浩さんにもテレビの仕事で来豪の際、インタビューさせて頂きましたが、何を聞いたのか、どんな感じだったのか全然覚えてないんですね。何故だろう。川口浩は、父親が昭和の文豪川口松太郎、母親名優三益愛子。サラブレッドで、大映時代、数多くの名作に出ています。
80点
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