グリーンブック Green Book オスカー作品賞 - Kenjis Movie Review
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グリーンブック Green Book オスカー作品賞

 

 

今年のオスカーの作品賞に輝いた映画です。個人的にはイチオシは「ボヘミアン・ラプソディ」だったのですが、ま、予想通りラミ・マレックが主演賞を取ったので、許そう。でも、これはこれで良質な作品です。予備知識なしで観たので、グリーンブック、緑の本とは一体なんだろうと興味しんしんでしたが、言ってみれば、人種差別の激しかった60年代のアメリカで、南部に旅行する黒人のための「地球の歩き方」のような物でした。そこには、黒人が泊まれるホテルのインフォメーションが網羅されてるんですね。

カーネギーホールの最上階に住む黒人のピアニストが、南部のコンサートツアーのために運転手兼用心棒として雇ったのが、イタリア系の白人。彼がピアニストのために常時持っているのがグリーンブックなんですね。ロードムービーで、南部の黒人への醜い差別を織り込みながら、二人の友情と信頼が育つストーリー。実話です。

主演はヴィゴ・モーテンセン、と「ムーンライト」でオスカーの助演賞をゲットしたマハーシャリ・アリ。何と今年のオスカーでもこれで再び助演賞の名誉に。

こういうタイプのロードムービーはゴマンとありますが、黒人差別に憤慨しながらも、二人の友情が深まっていく、ユーモアも混じえたプロセスを、気持ちよく観れます。

ラストシーンには思わず、うなりました。二人はクリスマスイブにニューヨークへ帰着。モーテンセンに、イタリア系なので家族親戚一同が集まった賑やかなイブパーティに誘われるのですが、丁重に辞退しペントハウスへ帰るアリ。執事を帰すと豪奢な部屋に一人きりになり、索漠とした気持ちを噛み締めます。モーテンセンの家ではイブがたけなわ。と、ドアをノックする音。アリだな、そうなるといかにもという感じのエンディングでつまらないなと思っていると、ドアの外に居たのは近くで質屋を営む老夫婦。いぶかるモーテンセンにあんたとこの弟か従兄弟か(忘れました)に、招待されたのさと言うと、冗談だったんだよと言う声が。老夫婦は大歓迎されパーティの輪に。そしてまたドアをノックする音が。今度はアリなんですね。つまり何を言いたいかというとですね、定石になるストーリーラインを、ひとひねりすることで一味違った仕上げになったということです。考え過ぎですか?

「ロード・オブ・ザ・リング」でスターになったモーテンセン。ここ数年はユニークな映画に主演で、オスカーにひんぱんにノミネートされています。ここ数年の間にオスカーを手に収めてほしいと切に願います。

                                           80点

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